NecoDog

うちの母親が言うには、あなたがウケテルというのは、社会的な不安と私が何の計算もなくやっている好き勝手なことが偶然時代性と一致してるように見えたからだっていうのね。
それは時代に味方されて、時代とともに去っていく感じであまりにも寂しいわよって言ったんだけど。
そしたら母親が「大丈夫よ、安心しなさい。この不安は第三次世界大戦まで続くんだから」って(笑)

— 『戸川純の気持ち』


僕はナードじゃない。それほど頭が良くないから。テレビゲームを作る側じゃなくて遊ぶ側の人間だ。僕は「ギーク」だよ、どう考えても。ヒューバードが超ナードだとすれば、僕は超ギークだ。
「ギーク」っいうのは日本でいう「オタク」にいちばん近い言葉だと思う。ナードが現実のフィクションに興味があるのに対して、ギークが夢中なのはサイエンス・フィクションとファンタジーだ。
同じ映画を見るのでも、普通の人はエンド・クレジットが出るとさっさと席を立って日常生活に戻るけど、ギークは映画を私生活まで引きずってしまう。
その映画について何もかも知りたがる。監督は誰だったか?キーグリップは誰だったか?ステレオとモノラルのバージョンの違いは?ギークは情報化社会の犠牲者、メディア漬けの産物なのかもしれない。
僕らは映画やテレビ番組やマンガが誘発する脳内麻薬の中毒なんだ。

— 『オタク・イン・USA 』 —パトリックアシマス


3年前にやめた煙草を、3ヶ月前からまた吸いはじめた。
煙草を吸うことは好きだ。
煙草を吸うあいだ、僕は他のことをしない。
仕事をしながら吸ったりしない。
携帯を見ながら吸ったりしない。
ただ吸う。
できれば外で吸う。
たとえば家のベランダで吸う。
目のまえの風景をぼーっと眺める。
青空駐車場にならんだ車のフレームが光っている。
木々が枝を触れあわせてさらさらと揺れる。
風が頬をなでる。
遠くの路地を、乳母車を押した老婆が歩いてゆく。
おなじ道を、若い男女が笑いながら歩いてくる。
老婆と男女がすれ違う。
老婆は乳母車をすこし路肩に寄せる。
男は女を先に行かせて、ふたりは一列になって歩く。
乳母車、老婆、男、女が、ひとつの塊になる。
その一瞬。
僕は目を閉じて、煙を深く吸いこむ。
煙草の葉がチリチリと燃える音を聞く。
甘いバニラの香りが鼻に抜ける。
まぶたのむこうで老婆と男女がだんだん離れてゆく。
煙が、のどを通って肺に届く。
頭がぼおっとする。
からだが少し浮いたようになる。
そっと目を開ける。

世界は、美しいと思う。

煙草について | アパートメント (via yasunao)


人はなぜ福袋を買うのか。答えは簡単で、「買うものがないから」です。「欲しいものが見つからないから」です。でも、「何かが買いたいから」なんですね。(中略)
モノを買い続けるように”教育”されてしまったいまの消費者は、何かが欲しいんですね。何かを買わないといらいらしてくるんですね。一種の買い物依存症。その何かが自分ではわからない。が、もしかしたら、その何かが、この袋の中に入っているかもしれない。

— 「成長から成熟へ」 天野祐吉